シャブ山シャブ子のような重度の薬物依存症の人が犯罪を犯してしまった場合はどうなるのか?

2018年11月27日

人気ドラマの「相棒」にわずか1分ほどの出番でしたが、強烈なキャラで話題の「 シャブ山シャブ子」ですが、彼女は重度の薬物依存症と思われます(もしくは重度の精神統合失調症などの何らかの精神疾患やその複合等も考えられますが、今回は薬物依存症と仮定して話を進めていきます)

実際のところ、「シャブ山シャブ子」のような重度の薬物依存症の人が犯罪を犯してしまった場合は、どのような形で罪を償って、その後の人生を歩むのでしょうか?調べてみました。

まずはシャブ山シャブ子と演伎をされた女優について

 

(画像は江藤あやTwitterより)

シャブ山シャブ子は名前の通り覚醒剤中毒者で、髪はボサボサ、目の焦点があっておらず、服もタンクトップに短パンと明らかに異様な雰囲気の女性だ。番組終盤に登場し、日中の公園で電話している生活安全部の刑事・百田(長谷川公彦)にフラフラと近づいてきて、右手に持っていたハンマーでいきなり百田を襲撃する。何度も殴って百田を殺した直後、発狂したように「ワハハ!」と奇声を発しながらうろついた。

次は取調室でのシーンとなるが、名前を聞かれると「シャブ山シャブ子です!17歳です!」と不気味なテンションで回答する(実際の役名は西田信子で年齢は43歳)。出演はここまでで、時間にしてわずか1分ほどだったが、強烈なルックスと暴行シーンの怪演、そしてインパクトの強すぎる名前で視聴者の心に大きな印象を残した。
『相棒』の強烈すぎるキャラ“シャブ山シャブ子”にネット騒然「トラウマになる…」【本人写真追加】より引用

このようにわずか1分の出演に関わらず、その強烈なキャラと演伎で印象を残した「シャブ山シャブ子」

演伎をされた女優は、江藤あやさんという方で、演劇などで活躍されている方です。

シャブ山シャブ子の「シャブ」って何?

 

シャブ山シャブ子の「シャブ」とは覚醒剤のことです。覚醒剤が何故「シャブ」と呼ばれるようになったのかというと、その由来はいくつも説がありますが、

  • 「アンプルの水溶液を振るとシャブシャブという音がしたから」
  • 英語で「削る、薄くそぐ」を意味する shave
  • 「骨までシャブる」
  • 「静脈内に投与すると冷感を覚え、寒い、しゃぶい、となることから」

などどれも背筋がぞっとするような理由が並びます。しかし覚醒剤は勿論、薬物は所持、使用など犯罪です。

 

シャブこと、覚醒剤は何故違法なのか?

 

特に覚醒剤は、「覚せい剤取締法」という法律で厳しく罰せられます。

 

 

なぜかというと、第二次世界大戦後の1950年代初頭に、戦時中に用いられていた覚醒剤が大量に市場に放出され、店頭でも買えたため、注射剤を含めたメタンフェタミンの乱用が流行したという事があったからですね。
はだしのゲンという漫画でも「ムスビ」という人物が覚醒剤に依存している様子が描かれていましたが、戦後にはそういった覚醒剤に苦しめられた人々がたくさんいたからこそ、「覚せい剤取締法」があるんですね。

 

仮に覚醒剤を使用するとどうなる?

覚醒剤依存症患者(1950年代)

 

第二次世界大戦の戦中時には、覚醒剤は夜戦の兵士や、軍需工場の工員に能率向上として半強制的に用いられ、『大空のサムライ』の著者で撃墜王、坂井三郎氏によると「戦後の戦友会で医務官だった人からビタミン剤と一緒にヒロポンも投与されていたと聞き、どうりで痩せて来ても元気だけはあったと納得しました。」との事です。

だったら使用してもいいじゃないか?かつては使っていたんだろう?

と思われる人思われる人もいるかも知れないですが、覚醒剤には強い依存性があります。それに警視庁によると

薬物の乱用により脳の正常な発達は止まり、突然、笑い出したり、泣きわめいたり、怒ったり不安定な精神状態になります。
また、幻覚が現れ、気が変になる場合もあります。たとえ一度でもこころは傷つきます。
薬物による中毒には、大きく分けて2種類あります。まず急性中毒とは、一度に大量の薬物を乱用したときに起こり、死亡するケースもあります。つぎに慢性中毒とは、何度か乱用することで脳や内臓を壊し、体力が低下して寄生虫による病気や伝染病にかかりやすくなります。少量でも体中が破壊されます。
法律によって薬物の乱用、所持などは厳しく禁止されています。また薬物を乱用して精神が不安定になり、依存症になることで、大切な家族や友人に迷惑をかけます。さらに犯罪など社会に様々な悪影響を及ぼします。薬物の恐ろしさ 警視庁 – 東京都より引用

と、重大な副作用が多数あることが書かれています。さらに追記させてもらいますと、覚醒剤の使用は、体内の血管や臓器全般、脳を酷使してしまうので将来ガンや脳の病気になる可能性が高くなります。勿論体内から毒素を排出するために、肝臓も酷使し続けてしまうので、最悪の場合、重い病気にかかっても治療しようにも薬が効かなかったり、治療に耐えられずになくなってしまう場合もあります。

使用はやめましょう。いいことはありません、そもそも犯罪ですしね。

 

薬物依存症について

 

1度でも薬物を使用してしまうと薬物依存症と言われるものになってしまいます。

薬物依存症は、薬物を摂取した場合、薬物耐性が形成され、同量の摂取量では離脱時と同様の離脱症状と渇望を呈する等の診断基準を満たした精神障害です。

こうなってしまうと、脳内に「第4の本能」と呼ばれる、食欲、睡眠欲、性欲と同程度かそれ以上の薬物に対する欲求をするように脳が覚えてしまうと言われています。個人で根性論的に薬物をやめるのは難しく、専門家の助けなしでは薬物依存症から立ち直るのは不可能です。

 

薬物依存症の人が犯罪を犯してしまった場合

 

薬物依存症の人が必ずしも犯罪を起こす訳ではありませんが、上記の通りもはや個人ではどうしようもない強い欲求のために、取り返しのつかない実態を招く場合があります。

かつてアメリカでは、薬物戦争といわれる強い厳罰主義によって薬物依存を防ぐ取り込みを行なっていましたが、1990年代には薬物の依存と乱用に効果がなくむしろそれらを促進しており、取締りのコストに対して批判が集まったことから、回復を目指すドラッグコートという施設が実験されていったという経緯があります。

日本でも、これに倣って薬物依存の政策を転換し、初犯では執行猶予が付く場合が多くなりました。しかし、この執行猶予の期間中に再犯となってしまった場合、再犯として懲役となることが多いそうです。

 

恐らくシャブ山シャブ子さんの場合は…

 

恐らくシャブ山シャブ子さんの場合は、薬物依存症とはいえ殺人を犯してしまっていますので、執行猶予がつく可能性は薄いでしょう。

そういった場合は、刑事裁判にかけられて、刑罰の確定後、治療施設で専門的な治療を受けて、寛解もしくは治療を行なっている医師の許可次第で刑務所に送られ罪を償います。

あまりにも酷い薬物依存の状態では、刑事裁判以前にも治療施設に搬送されて治療をする場合があります。勿論、そういった場合は、逃げないように監視がつくようですね。

実際に薬物依存症の人が殺人事件を起こしてしまったケースとしては、有名どころでは「深川通り魔殺人事件」があります。

その際は、犯人は主婦や児童らを包丁で刺し、児童1人と乳児1人を含む4人が死亡、2人が怪我を負いました。判決は無期懲役。

シャブ山シャブ子さんはここまでとはいかないとは思いますが、長期間刑務所で罪を償うことになるのは間違いないでしょう。

 

罪を償ったその後の人生について

photo by白石准

 

刑務所で罪を償った後は、釈放されてその後は一般生活を送ることになります。

勿論、定期的に病院に通ったり、カウンセリングを受けたりといった治療は継続されるでしょう。しかし、残念ながら薬物依存症は一生治ることはなく、感覚的には「やめるというにより、一生我慢する」といわれています。医学的には寛解と呼ばれています。

それでも、突然幻覚を見るフラッシュバックといわれる症状を代表に、多くの後遺症と一生戦っていかなければなりません。

後遺症や薬物に対する欲求は大変辛いことで、個人で頑張っても限界というものがあります。できれば家族の支えや、ダルクといった専門の治療施設でリハビリをすることが大切です。

 

そして私たちは何ができるのか?

 

しかし、薬物依存症が全くあるいは十分に 治療されないため、高い再犯率を維持しているというのが現状です。そのため、司法にかかるコストのほうが、治療にかかるコストよりも大きいため、薬物犯罪の刑の一部執行猶予する法案が取っており、心理療法など治療の整備が求められています。

シャブ山シャブ子さんが罪を償った後に、ちゃんとした人生を歩むことができるのかは定かではありませんが、現実的に考えると、腕の注射跡や身だしなみの概念の欠如等から鑑みると、間違いなく重度の薬物依存症で、年齢的にも辛い治療とその後の薬物依存症への戦いが待っているでしょう。

ドラマだけではなく、現実にもそういった苦しんいる方は大勢いるですが、そういった方達へ私たちは一体何ができるのか?

皆さんへの一助となれればと思います。では、くれぐれも皆さんは薬物を使用することのないように良い人生を送っていただければと思います。そして、今薬物依存に苦しんでいる人たちに会った時に偏見を持たずに助けていただければと思います。